毎日の食事に心をこめて
食事への願い
子どもたちは幼い日に毎日の生活の中で一つ一つの恵みを覚え、自分に与えられた命に感謝することを学び、成長します。本来、食事は「毎日、当然出てくるもの」ではなく、「きょうの食事を感謝していただき、残さないよう食べるもの」です。
初等部では生活そのものを教育と考えています。子どもたちの心と体を育ててゆくためにも、教育活動の中で食事が「生きた教材」として活用されるよう願っています。
初等部のねらい
初等部では食事の内容や質を考慮して、いわゆる「給食」を心のこもった「おいしい食事」にと願い、次のことを心がけて献立を作成し食事作りをしています。
献立は旬の食品が最大限に使えるように、1週間ごとに考えています。ご家庭には下記の3点をふまえ、献立予定表を上手に活用してくださることをお願いしています。献立は毎週末に次週の予定を配布しています。
(1)学校で子どもたちがどのような食事をしているかを知る
(2)学校と家庭のメニューの重複をさける
成長期の子どもたちは、できるだけ多くの食品を摂取することが大切です。昼夜同じメニューにならない、食材や調理法が重ならない、高カロリーになりすぎないことが望まれます。
そのため献立予定表には、できるだけ多くの食品名とカロリー等の表示をしています。
週末に翌週分を配布して、ご家庭での食事献立の参考にしていただいています。
(3)学校と家庭の連携をはかる
「こんだて」に牛乳のない日には、不足しがちなカルシウムを牛乳やヨーグルトで補うことで、栄養のバランスが良くなります。
ご家庭の協力をいただきながら、社会生活の始まる学童期に望ましい食習慣の形成を目指します。
また、人として生涯を心身共に健康で過ごすために、どういう食事が必要であるかを理解し、実践する力も合わせて身につけさせたいと考えています。
食堂では
上級生にとってはリーダーシップの学習の場となり、上級生としての自覚が生まれることで、他の奉仕活動や下級生への具体的なお世話をする方向づけになります。下級生は上学年を見習う機会を得ることで、食事を通して生活を学ぶ場となります。
このようにして初等部の伝統が教職員や上級生から下級生へと受け継がれ育まれていきます。
児童のサイズに合う木製のテーブル・椅子を用意し、花びんには季節の花をいけます。
食堂の壁には、児童の作品やタペストリーなどが飾られます。人数分の食器がセットされ、おつゆは鍋に、ご飯はおひつに、肉や魚は大皿に、和え物は大鉢にと盛りつけられたテーブルでそれぞれが取り分けます。
教室では
各教室に2台ずつワゴンを用意しています。1台は食器用、もう1台は保温性のあるワゴンで、肉や魚、みそ汁、ご飯、パンなどを入れています。常温部には厨房の冷蔵庫で冷やしておいたサラダ、果物、牛乳などが入れられるようになっています。またワゴンの上面やふたを配膳テーブルとして生かし、清潔に配食ができるようにしてあります。各教室には木製の配膳台を用意しています。紙ナフキン、割り箸、スプーンなどが引き出しに保管され、上面は配膳の補助台として使っています。このように様々な工夫で、教室でも可能な限り、おいしく食事ができるようにしています。
当番がエプロンやマスクをして、クラスの仲間へのサービスに努めます。クラスによっては、机を動かして4人テーブルにしてみたり、ランチョンマットを敷き、食卓としての雰囲気作りをしたりするなど、食事の時間が学級の中での活動の場として生かされています。
木曜ランチョン
「一人一人の食事を大切に」
これが出発点となり、昭和45年木曜ランチョンが誕生しました。
毎週木曜日の1学年ずつの食事(他学年はお弁当持参)は、初等部の食事のねらいを可能な限り実現したものです。平常6学年に当てられる人手を1学年に集め、心を配り、手をかけて、「最も望ましい食事」として計画した初等部独自の特別ランチです。食器は陶磁器や、塗り物を使い、こわれやすい物を大切に扱わせます。材料も本来の味を出すために、例えば、日本料理では、昆布とかつお節を使ってだしをとり、中華料理や西洋料理では、基本に忠実な調理法でスープを作ります。また、季節感を大切に旬の食材を用いて調理し、美しくおいしそうに盛りつけるよう心がけています。
1年生から6年生まで それぞれの学年の成長過程に応じた献立で食事を用意しています。感受性豊かな時期にこのような食事を通して、子どもの心を育てることをねらいとしています。
さらに、日本独自の行事・献立・食器にふれながら、長い歴史の中で培われてきた食文化を再認識することや、日本人として基本的な食事のマナーを覚えることも、大切にしています。